先週 Firewoks の製品チームブログに、Fireworks の今後に関する記事が公開されました。(The future of Adobe Fireworks)
アドビの場合、製品チームのブログに書かれた内容はほぼ公式見解に近いものと考えられるため、一通り翻訳して掲載します。
ということで、以下、Fireworks チームのブログからの発表内容です。 (一部意訳を含みます。 例 : 我々は → アドビは、などなど)
ブログ記事の内容
本日 MAX カンファレンスにおいて、アドビは最新世代のクリエイティブツールである Photoshop CC, Dreamweaver CC, Flash Professional CC, Edge Animate CC を始めとする数多くの CC 製品を発表しました。しかし、お気づきのように、この発表には Firewokds CS6 のアップデートは含まれません。
過去数年に渡り、Fireworks と Photoshop, Illustrator, Edge Reflow のような既存のもしくは新しいツールとの間に、機能の重複が増加してきました。同時に、アドビは、開発チームの焦点を、ウェブデザインの中の特定の作業のための、より小さくて単機能なツールやサービスに移しました。この機能重複と製品開発の焦点の変更のため、アドビは Fireworks を CC にアップデートせず、アドビの顧客が必要とする新しいツールの開発に注力することを決めました。
Fireworks の新機能の開発は計画されてはいませんが、Firewoks CS6 の販売は継続され Creative Cloud の一部として提供されます。必要に応じてセキュリティアップデートを行ったり、またバグ修正も提供する予定です。Mac OS X と Windows の次のメジャーリリースをサポートするための更新も行う予定です。Windows と Mac OS X の次バージョンのより具体的な詳細が判明したら、これらのプランは修正されるかもしれません。
アドビは、Firewoks はウェブ上のもっとも熱心なコミュニティの 1 つに支えられていることを理解しています。そのため、この変更は受け入れがたいものに感じられることでしょう。アドビが開発努力の見直しをする目的は、アドビの顧客が優れたウェブコンテンツを制作できる、個別の作業に焦点を当てた新生代のツールを開発することです。
翌日になって追加された Q&A
アドビは Fireworks の将来についての発表に対する全てのコメントに感謝します。そして、いくつかの共通する疑問にお答えしたいと思います。
Q: アドビは Fireworks のユーザーを気にかけているのか?
A: もちろんです。アドビはウェブデザイナーの Fireworks への愛情と、その独特な特徴、ページ内に、ステートを持つインタラクションをデザインしたり短期間でプロトタイプを行える、そして、それらがウェブデザインのプロセスにおける重要な部分であることを理解しています。
Q: なぜ Fireworks は新規開発が行われていないのか?
A: 2013 年における画面へのデザインは 1998 の画面へのデザインとは大幅に異なります。新しい機能を Fireworks に追加することを検討する中で、アドビは、新しい個別の作業に焦点を当てたツールの方が、将来のウェブデザイナーと開発者の必要性により合わせられるという結論に達しました。
Q: アドビはウェブデザインにどんな新しいツールを提案しようとしているのか?
A: アドビは、今日のウェブデザイナーの必要性に応えることを目的に、一連の新しいツールとサービスの開発に着手してきました。まず手始めに、レスポンシブなレイアウト、ウェブアニメーション、HTML, CSS, JavaScript のコード編集に焦点を当て、それらのユースケースに対応する新しい Edge ツールを提供してきました。アドビは、画面デザインとプロトタイプのための次世代の解決策に積極的に取り組んでおり、既存の Fireworks ユーザーにも喜んで受け入れられるものになることを期待しています。
コミュニティからの Fireworks への支援の表れは、アドビにウェブデザイナーのための専用ツールを提供し続けるべきであるという信念を再確認させました。Fireworks CS6 の後を継ぐものは、最新のウェブデザイナーの必要性に答えるべくゼロから設計された革新的な跳躍になるでしょう。これを実現するためには、アドビは皆さんの助けが必要です。アドビは、日々のデザイン作業の中で、皆さんがどのように働き、どのような挑戦に直面し、どこで最大の苦難を経験しているかを聞きたいと思っています。
もし、あなたがこれらの新しいツールの開発プロセスに加わりたいと考えているなら、どうかこちらに登録してください。
Q: Fireworks は継続して提供されるのか?
A: はい。Fireworks CS6 は単体製品、または Creative Cloud メンバーシップの一部として提供が継続されます。
Q: Fireworks を継続して使用するべきか?
A: はい。もし Fireworks CS6 が現在のワークフローの一部であれば、それを変更する理由はありません。アドビは Fireworks CS6 へのサポートを継続して提供します。
Q: アドビは本当に今後も Fireworks の既存のバグの修正を行うのか?
A: はい。既にアドビでは、Fireworks CS6 のアップデートを数週間後に公開し、Mac OS 10.8 でしばしば画像プレビューダイアログからの書き出し時にファイルが見つからない件を含め、25 以上の報告されている問題に対応することを予定しています。
Q: アドビは Fireworks ユーザーに Photoshop を使うように提案しているのか?
A: Photoshop はデザインプロセスの主要なパーツです。しかし、アドビは Fireworks があるユニークな機能を提供することで、ウェブデザイナーの道具箱の中でも重要な部品となっていることを知っています。Photoshop は今後もウェブデザイナーを支援する機能やワークフローを追加するでしょうが、それが Fireworks の良い置き換えになるかは、個人の必要性や好みに依存することでしょう。
個人的な補足
上の文章を読んでみると、おそらく、最初に公開された分の文章に書かれた内容の方は、ビジネス関連の内容以外は無視してよいものと思われます。
後に追加された Q&A の骨子は、従来の 「機能追加の繰り返しをバージョンアップと呼ぶ」 というモデルからの脱却を念頭に読むと分かりやすいかもしれません。CS から CC への転換の根本には (少なくとも Web 系のツールに関しては) 最新の技術動向への迅速な対応の実現があります。
Fireworks に関しては、CC (と最近の技術動向) を前提にすると、今のままでは適切な更新の継続が困難という判断がなされたようです。不要な存在と考えていないことは繰り返し記述されています。
Dreamweaver に関しては少し状況が異なるようで、MAX で会った製品担当の話では、「ツールを使いこなすのではなく、ツールにガイドして欲しいという人は存在するし、そうするとウェブ制作の最初から最後までをカバーする Dreamweaver のようなツールは必要だと考えている」 とのことでしたので、Edge ツールと機能がかぶるから作り直すということは無さそうです。
補足の補足
上の補足で、「最近の技術動向を前提にすると、今のままでは適切な更新の継続が困難」 と書きましたが、これは、たまたま会って話したアドビ本社のエンジニアとの会話からの推論です。つまり、アドビの公式見解ではないので、という点はご了解いただいた上で、 少し詳細をご紹介しておきます。 (実際、ある技術的な理由だけで製品の方向性が判断されるとは考え難いので)
まず、大事な点。製品チームでは、最近 PS や AI から FW に移行するウェブデザイナーの数が少なくないことを把握している。FW のようなツールの重要性は高まっていると認識している。それが FW の新規開発の中止の理由の 1 つになっているらしい。という点です。
やや矛盾した議論のように見えるかもしれません。ポイントは CSS への対応です。
ウェブデザインにおける CSS の重要性は急速に高まっている、というのは最近の常識でしょう。Fireworks は、オブジェクトにスタイルをあてるというコンセプトを採用している描画ツールのため、この点でアドバンテージがあると考えられます。
しかし、Fireworks のオブジェクトモデルには、CSS のサポート上で障害となる仕様が存在します。1998 年に出荷されたツールが、後になって登場した技術に適合しないのは無理もない話ですが、現状のままでは Fireworks に CSS 関連の新機能を追加を継続しても、制限付きの新機能ばかりになってしまう可能性があります。これは決して望ましい話ではありません。
一方で、今後更に複雑かつ高度になるであろう CSS をきちんとサポートできるツールへの必要性はますます高まることでしょう。とすると、現状の Fireworks では、長期的にその利点を保つのは難しいかもしれません。
根本的な解決方法は、Fireworks の基本的な描画モデルを CSS を前提として刷新する、つまり、ツールを最初から作り直すことです。
実際に、新ツール開発が行われる旨は、上で翻訳した Q&A にも記述されているので、おそらく開発が中断された経緯は、このあたりで当たらずとも遠からずではないかと思います。CSS メインのユーザーには新ツールを、それ以外のユーザーには CS6 をという感じかと。
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さて、ツールを作り直すことと、ツールがなくなることは同一ではありません。例えば、Flash Professional の場合、先日発表されたバージョンは 64 bit 対応のために中身は新規に書き直されたものですが、既存ユーザーからは、これは Flash Pro だよね、と思えるものになっています。
新しいデザインツールも、作ってみたらこれは Fireworks だよね、ということになって、最終的に Fireworks CC 登場という話になるかもしれません。もちろん、これは別のツールだよね、というオチになるかもしれません。
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先週の MAX の Reflow のセッションでは、Reflow の開発スタイルは TDD だ、というジョークがありました。Twitter Driven Development、、つまりツイッターでの反応を片っ端から拾っては製品に反映させているということです。
Fireworks の後継も、アドビが勝手に作るのではなく、みんなの声を聞きながら開発が進められるものと思います。Firewoks ユーザーには、跡継ぎならこうじゃなくっちゃ、と言う権利があると思います。そして、日本で Fireworks のユーザー活動が活発に継続されるのは大事なことだと思います。
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